第119章 記憶の欠片<弐>
「あ、あんた、いつ帰ってきたの?」
「ついさっきですけど・・・、っていうか、俺が水くみに行った意味あったんですか?その人起きてるし」
少年は呆れたようにそう言うと、水が入った水筒を静かに揺らした。
「まあそれはともかく、さっきはありがとうございました。見ず知らずの俺を庇ってくれて」
「気にしないで。まあ結果的には、あいつに鍵を持ってかれちゃったわけだし、あんまり役になってないわよ」
「俺も・・・」
三人はぺこぺこと頭を下げるが、炭治郎はふと思い出したように言った。
「それはそうと、結局鍵って言うのは何の鍵だったの?」
「絡繰人形です」
「「絡繰人形?」」
汐と炭治郎が同時に聞き返すと、少年はそのまま話し始めた。
この里には少年の先祖が作った、百八ものの動きができる絡繰人形があるという話だった。
しかもそれは、人間をはるかに凌駕する力があるため、戦闘訓練に用いられているそうだ。
「そうか。彼は訓練の為にそれを・・・」
「はい・・・。だけど、老朽化が進んで壊れそうなんです」
「それをちゃんと説明したのにあれなの?全く、柱ってのは人の話をまともに聞かない奴ばっかりね」
顔をしかめて言う汐に、炭治郎は汐も人のことを言えないんじゃないかと思ったが、それを口にして血祭りにあげられても困るので止めておいた。
その時だった。