第158章 不滅<参>
汐の声に導かれるように、全員の殺意が一気に膨れ上がる。
――霞の呼吸 肆ノ型――
――蟲の呼吸 蝶ノ舞――
――蛇の呼吸 壱ノ型――
――恋の呼吸 伍ノ型――
――水の呼吸 参ノ型――
――風の呼吸 漆ノ型――
――海の呼吸 陸ノ型――
――ヒノカミ神楽――
――陽火突
全員がそれぞれの技を一斉に、無惨に向けて放とうとしたときだった。
無惨がにやりと笑みを浮かべたかと思った、その時。
突然、奇妙な浮遊感を足元に感じた。
目を凝らせば、無惨を含めた全員の足元に、ぽっかりと空洞が開いていたのだ。
それはまるで、障子戸のようだった。
攻撃は無惨に届くことなく、皆それぞれ落ちて行く。
「これで私を追い詰めたつもりか?貴様らがこれから行くのは地獄だ!!目障りな鬼狩り共、今宵皆殺しにしてやろう」
無惨の声が響く中、それを遮るように炭治郎の声が飛び出した。
「地獄に行くのはお前だ、無惨!!絶対に逃がさない、必ず倒す!!」
「この時を何百年も待ったんだ!!頸を洗って待っていろ!!」」
汐の鋭い声が、炭治郎の声に重なった。
「面白い」
珠世と共に落ちて行く無惨は、口元を大きく歪ませて笑った。
「やってみろ、できるものなら。竈門炭治郎、ワダツミの子!!」
全員が暗闇に飲み込まれると同時に、障子戸は閉じ跡形もなく消え去った。
残るのは、未だ囂々と燃え続ける屋敷の残骸だけだった。