第117章 刀鍛冶の里<肆>
「多分来ないかもしれないわ。里の人が言ってたけれど、全然食事をしないそうなの。何か持ってきてたのかしら?」
「そうなのね。見た目は結構がっしりしてたのに、意外と小食なのかしら?」
汐と甘露寺は首をひねるも、答えの見えない疑問に考えることをやめた。
「じゃああたしが頃合いを見計らって、何か持って行ってあげようかな」
汐が何気なくそう呟いたとき、突然炭治郎が身を乗り出して叫んだ。
「いい!それは俺がやるから」
「え?ちょっと、どうしたの炭治郎?そんな"目"をして・・・」
炭治郎の"目"には、得も言われぬ感情が宿っていて、汐は思わず息をのんだ。
「え?あ、いや、何でもない。汐は食事を始めるのが遅かったんだから、ゆっくり食べていてくれ」
「???」
炭治郎の言葉に、汐は怪訝な表情で首を傾げ、甘露寺はその微妙な雰囲気を心配そうな顔で見ていた。