第114章 刀鍛冶の里<壱>
「私が鬼殺隊に入った理由はね・・・、添い遂げる殿方を見つけるためなの!!」
「・・・はい?」
甘露寺の思いがけない言葉に、汐の思考は停止した。汐の知る限り、鬼殺隊に入った理由の多くは、凄惨な過去を経験しているためであり、自分自身や炭治郎もそれに当てはまった。
善逸や伊之助の様に、しょうもない理由で入隊した者もいるのだが、甘露寺の動機はそれを凌駕するものだった。
「やっぱり自分よりも強い男の人がいいでしょ?守ってほしいもの!しおちゃんも女の子だから、私の気持ちわかるわよね?」
「え?あ、うん。確かに、自分よりも貧弱な奴はちょっと遠慮したいかもね」
汐は顔を引き攣らせながらそう言うと、甘露寺は「そうよね~」と嬉しそうに笑った。
しかし汐は心の中で思っていた。
(みっちゃんと添い遂げられる強い男って、早々見つからないんじゃないかな。っていうか、みっちゃんの力自体が化け物級だから、悲鳴島さんとかあれぐらいの人じゃなきゃ無理なんじゃないかな)
「でもね、本当はそんな人なんていないんじゃないかって、思うこともあったのよ」
「え?」
突然声を落とした甘露寺に、汐は驚いて顔を向けた。