第114章 刀鍛冶の里<壱>
「とにかく、鉄火場の事は我々に任せてください。鋼鐵塚の事も、見つけ次第取り押さえます故」
「あ、ああそう。とりあえず殺さないようにしてね。何だか殺気立ってるように見えるから」
鉄珍のお付きの者は、大腕を振ってそう言い、汐は引きつった笑みを浮かべて眺めていた。
「説得はつづけるけど、もしも焔が刀を打たない場合、別の者を君の刀鍛冶にする。うちの里の温泉は、身体の傷だけじゃなく心の傷にも効くから、後はワシ等に任せて二人ともゆっくり過ごしてや」
鉄珍たちの言葉に、汐と甘露寺は深々と頭を下げ、感謝の言葉を述べた。
「では、さっそく宿へとご案内いたします」
お付きの者が立ち上がり、汐と甘露寺は彼に連れられ部屋を後にした。