第112章 幕間その陸:故郷へ(中編)
――海の呼吸 壱ノ型――
――潮飛沫!!
汐が海の中から飛び出し、甘露寺に迫る触手を叩き切ると、再生しかかった触手に向かって、大きく口を開けた。
――伍ノ旋律――
――爆砕歌!!!
汐が放った衝撃波が触手ごと鬼を押し返し、そのまま鬼は吹き飛び岩壁に叩きつけられた。
「みっちゃん、大丈夫!?」
「え、ええ、大丈夫よ!しおちゃんこそ、怪我はない!?」
甘露寺の言葉に汐は頷くと、決意が宿った"目"を彼女に向けた。その顔には、もう迷いも恐れも現れていなかった。
叩きつけられたことに激昂したのか、鬼は上半身の鱗を震わせ始めた。
おそらく、全ての鱗を二人に向かって放つつもりだ。
「みっちゃん」
「は、はい!」
汐の凛とした声に、甘露寺は上ずった声で返事をした。
「あたしが奴の頸を斬るから、みっちゃんは攻撃を相殺してくれない?おそらく、あの鱗は弾いても戻ってくるだろうから、攻撃事態が斬れるみっちゃんの力が必要になる。あたしの師範だもの、出来るよね?」
「勿論よ!私のかわいい継子のためだもの!なんだってできるわ!!」
汐の言葉に甘露寺は、頬を桃色に染めながら鬼を見上げた。その瞬間、鬼は上半身の鱗を二人に向かって全て放った。