第14章 二つの刃<肆>
一方、汐の日輪刀は
「これは・・・」
汐の刀は美しい紺青色へと変化していた。その風体に、鉄火場は満足そうにうなずく。
だが、汐が少し刀を動かした瞬間、全員が思わず息をのんだ。
紺青色の刀が、淡い青へと変化したからだ。
更に傾けると、今度は鮮やかな翠玉色。そして別方向に傾ければ薄い水色と次々に色が変化していった。
「なんという・・・」
皆言葉なく、色とりどりに変化する刀にくぎ付けになる。先ほどまで取り乱して炭治郎に技をかけていた鋼鐵塚も、思わず動きを止めそれを見つめていた。
「あの、これってどういう・・・?こんなことってあるものなの?」
汐の言葉に、炭治郎を除く全員が首を横に振った。
「普通日輪刀は一度色が変われば永久的にその色に固定される。決して後から変わることはない。だが、これは・・・」
「失礼いたします」
鉄火場は汐から刀を受け取ると、傾けながらしげしげと見つめた。
「角度を変えるたびに色が変わっているように見えます。まるで、波打つ海のような・・・」
鉄火場はうっとりと色が変わり続ける刀に魅入る。が、本来の目的を思い出し小さく咳払いをした。
「刀に問題はなさそうなので、このままお使いいただけます。しかし、このようなことは前代未聞。この先どのようなことが起こるのか、自分にはわかりません。大変失礼化とは思いますが、興味深い事例なのでこちらで少々調べさせていただきますね」
そう言って彼は鞘に納めてから汐に刀を返す。そして鱗滝のほうを見た。
「しかし驚きました。|大海原という名を聞いた時からもしやとおもいましたが、彼女は玄海殿の・・・」
「ああ、娘だ。そして弟子でもある」
「そうでしたか・・・。なんというか、運命のようなものを感じますね」
鱗滝の言葉を聞き、鉄火場は納得したようにうなずく。話が見えず困惑する汐に、鱗滝は口を開いた。