第108章 幕間その陸:再開、そして勃発
「奴はどうも、私以外の人と関わることを好まないようで、客人に対してもあのような態度をとってしまうのだ。不快にさせたのなら申し訳ない」
「ううん、気にしないで。あたしもついかっとなって殴っちゃったわけだし・・・。悲鳴嶼さんがそんなことを言う必要はないわ」
あたしの悪い癖ね、と言いながら汐は困ったように笑った。
「ところで大海原。この後は何か用事はあるか?」
「用事?今日の分の稽古は終わったから、特に何もないわ」
「そうか。なら、これから行う稽古の見学をしていかないか?勿論、君がよければの話だが」
思わぬ誘いに、汐は驚いて悲鳴嶼を見つめた。他の柱の稽古を見ることは、きっとこれからの事に役立つと、以前に甘露寺も言っていた。
その機会が思わぬ形で訪れたことに、汐の心は跳ね上がった。
「本当に!?見たいみたい!凄く見たい!!」
思わず子供の様にはしゃいだ汐は、慌てて口を両手で塞いだ。その顔が茹蛸の様に真っ赤になっていることに、悲鳴嶼が気づくことはなかった。