第108章 幕間その陸:再開、そして勃発
「このようなことになってしまって、すまなかったな。玄弥には、改めて話をしておくことにしよう。して、わざわざここまで訪ねてきたということは、甘露寺の?」
「あ、うん。みっちゃ・・・、師範がこれを悲鳴嶼さんにって。自分は緊急の任務で行けないから、渡してくれって頼まれたの」
汐はそう言って、持ってきた包みを悲鳴嶼の前に差し出した。すると、彼はそれを持ち上げ、感触を確かめるように触ったり、しばし持ち上げたりしたあと、その口元が微かに緩んだ。
「御足労、感謝する」
その包みが余程嬉しかったのか、彼の声色は心なしか弾んでいるようにも聞こえた。汐はそんな彼に驚きつつも、先ほどの玄弥の事を聞いてみることにした。
「ねえ、悲鳴嶼さん。前にあなたが言ってた弟子って、もしかしてあいつのこと?」
「そうだ。名前は不死川玄弥。訳があって正式な継子ではないが、私の弟子だ」
悲鳴嶼はそう言って、先ほど玄弥が出て行った方角をそっと見つめた。
(ん?不死川?不死川ってなんだか聞き覚えがあるわね・・・)
汐が首をひねっていると、悲鳴嶼は少し困ったように言った。