第108章 幕間その陸:再開、そして勃発
「何よ、本当の事じゃない!それに、あたし覚えてるんだからね!蝶屋敷でぶつかって来たくせに、謝りもしなかったこと!」
「うるせえ、知るかそんなこと!大体、お前のしゃべり方女みてぇで気持ち悪いんだよ!」
「なんですって!?」
この言葉に汐も激怒し、少年につかみかかった。ワダツミの子の特性で、男と間違われることはわかっていたのだが、そのことを忘れる程、汐の頭にも血が上っていた。
その行動に少年も怒りを爆発させ、汐の胸元をつかんだ。
その刹那、手元に違和感を感じた彼は、そのまま石のように固まった。彼が感じたのは、男ならばあるはずのない、柔らかい感触だった。
「・・・・え」
急に固まった少年に合わせるように、汐も固まり、そしてそのまま少年の手の位置に目を動かすと――。
「どこを・・・触ってんだクソ野郎ーーーっ!!!」
そのまま汐は左拳を、思い切り少年の顔にたたきつけ、鈍い音とうめき声が森中に響き渡った。