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【鬼滅の刃】ウタカタノ花

第107章 変わりゆくもの<肆>


「ありがとうね、善逸。あたしのために、いろいろしてくれて」
「ううん、俺は何もしていないよ。記憶が戻ったのは、きっと君自身が取り戻したいと頑張ったからだよ」

善逸は首を横に振り、優しいまなざしで汐を見た。その目から伝わる気持ちに、汐の心は震えた。

「でも、きっかけを作ってくれたのはあんたよ。あんたが裏山に連れて行ってくれなきゃ、記憶を取り戻したいって思わなかったもの。だから、そのことはちゃんとお礼をしたいんだから、黙って受け取っておきなさいよ」
「相変わらず、謝られてるんだかそうじゃないんだか、わかんないなあ」
「あんた、しばらく見ないうちに、言うようになったじゃない」

そんなことを話しながら、二人は朗らかに笑った。

「だけど、汐ちゃん。これからは、俺とあんまり二人きりにならない方が、いいとおもうよ」
「へ?何でよ」
「なんでって、そりゃあ、いろいろと誤解されるだろうし・・・」
「何よ誤解って。いいからもったいぶらずに言いなさいよ」

汐がそう言うと、善逸は観念したように口を開いた。

「だから、汐ちゃんは炭治郎の事が好きなんだから、あまり他の男と話したら・・・」
「なっ、なっ、なっ・・・!!」

善逸の言葉を聞いた瞬間、汐の顔が瞬時に茹蛸の如く真っ赤になり、頭から湯気が吹き出した。
そして、次の瞬間には

「何であんたが知ってんだ、馬鹿ーーーっ!!!」

汐の怒号が響き、乾いた音が屋敷中に響き渡ったのだった。
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