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【鬼滅の刃】ウタカタノ花

第107章 変わりゆくもの<肆>


「必要ない、貴様の目玉など。妓夫太郎は負けると思っていた。案の定、堕姫が足手纏いだった」

無惨は童磨の言葉をはねのけると、抑揚のない声色でつづけた。

「初めから妓夫太郎が戦っていれば、勝っていた。そもそも、毒を喰らわせた後まで戦い続けず・・・いや、もうどうでもいい」

無惨は帳面に何かを書き記しながら、吐き捨てるように言った。

「くだらぬ。人間の部分を多く残していた者から負けていく。だがもう、それもいい。私はお前達に期待しない」
「またそのように悲しいことをおっしゃいなさる。俺が貴方様の期待に応えなかった時が、あったでしょうか」

そんな無惨に臆することなく口をはさむ童磨に、無惨の声が微かに棘を含んだ。

「産屋敷一族を未だに葬っていない上、ワダツミの子も未だに喧しく囀り続けている。そして、"青い彼岸花"はどうした?なぜ何百年も見つけられぬ。私は――・・・、貴様らの存在理由が分からなくなってきた」

無惨の表情は見えないが、顔中には欠陥が浮き出しており、激昂していることが分かった。
瞬時に空気が張り詰め、鬼達の身体を震わせた。

「ヒイイッ!御許しくださいませ。どうかどうか」
「・・・・」

半天狗は震えあがりながら、階段に額をこすりつけ、猗窩座は跪いたまま何も答えない。

「返す・・・言葉も・・・ない・・・。産屋敷・・・巧妙に・・・姿を・・・隠している。そして、ワダツミの子・・・。奴の影響を受ける者が・・・あまりにも多すぎる・・・」
「俺は探知探索が苦手だからなあ。如何したものか・・・」

黒死牟は淡々と答え、童磨は困ったような表情を浮かべながら呟いた。

そんな中、玉壺は無惨の方を向きながら、ひときわ大きな声で叫ぶように言った。

「無惨様!!私は違います!貴方様の望みに一歩近づくための、情報を私は掴みました。ほんの今しがた・・・」

しかし玉壺の言葉は最後まで紡がれる前に、無惨の声によって遮られた。
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