第105章 変わりゆくもの<弐>
戻って来た二人は、何やら屋敷内が騒がしくなっていることに気づいた。何かあったことは明白であり、善逸はびくりと体を震わせた。
だが、隣に立つ汐の不安げな顔をみて、意を決して足を進めた。
「あ、善逸さん!大変です!!」
屋敷に入るなり、なほが慌てた様子で近寄ってきた。だが、彼女から感じた"音"に、善逸は先ほどとは別の意味で肩を震わせた。
「伊之助さんが目を覚ましたんです!」
「伊之助が!?いつ!?」
「お二人が裏山へ行ってから間もなくです。今はしのぶ様が検査をしていますが、少なくとも命に別状はなさそうとのことです」
なほの言葉に、善逸はうれしさのあまり目を潤ませ、汐はそんな彼を見て不思議そうに首をかしげていた。
「あ、伊之助は俺達の仲間だよ。嘴平伊之助。もしかしたら、何か思い出せるかもしれない。行ってみよう」
善逸はうれしさのあまり上ずった声でそう言うと、汐の手を引いて走り出してしまい、なほから走らないように、と注意を受けてしまった。
「伊之助!」
善逸が汐と共に病室へ行くと、既に検査が終わった後なのか中には伊之助以外は誰もいなかった。
「ん?お前は、紋逸か!」
伊之助は目を覚ましたばかりだというのに、いつもの通りの大声でそう言った。アオイたちから、毒のせいで呼吸による止血が遅れてしまい、一時期本当に危なかったことを聞かされていた善逸は、伊之助の生還を心から喜んだ。