第13章 二つの刃<参>
その手が驚くほど温かくて、そしてその眼が兄同様とても美しくて、汐の両目から涙があふれだした。
こんな眼をする鬼を、見たことがあっただろうか。こんな優しい子を、こんな眼をする子を、自分は殺そうとしたのか。
いろいろな感情がせめぎあい、汐は思わず禰豆子の手を握りしめた。
「ごめん、ごめんなさい!あたし、あたしあんたになんてことを・・・!あんたの事、何も知らないくせに酷いことをしようとした!!ごめんなさい!ごめんなさい!!禰豆子!!!」
泣き叫ぶ汐の頭を、禰豆子は優しくなでた。まるで小さな子をあやすようなその仕草に、汐の鳴き声がさらに大きくなる。
炭治郎もたまらなくなり二人のそばに駆け寄ると、禰豆子と汐を抱きしめ彼も泣いた。
そして、その様子に気づいた鱗滝も駆け寄り、三人を抱きしめる。
「よく、よく生きて戻った!二人とも・・・!!」
面越しに彼の目からも涙があふれだす。そのまま四人は抱き合ったまましばらく泣き続けた。