第103章 決着<肆>
抜けるような青空が広がり、穏やかな風は青々と茂った木々を優しく揺らしていく。
そんな中、開けた場所で一人薪を割る斧を振るっている男がいた。
少し赤みがかった髪に、同じ色の瞳の男は、ある程度の薪を割るとそれに縄を結び所定の場所に保管した。
そして流れる汗をぬぐい、一息つこうとしたときだった。
何処からか、温かく優しい歌声が風に乗って聞こえてきた。彼はふっと優し気な笑みを浮かべると、歌が聞こえてくる方へ足を進めた。
その先には一軒の家があり、歌はそこから聞こえてきていた。男が近づくと、家の中では真っ青な髪をした一人の少女が、布団の上で眠る幼い少女に歌を聴かせていた。
幼い少女はすうすうと規則正しい寝息を立てており、それを見た青い髪の少女は優し気に微笑んだ。
『綺麗な歌だね。子守唄かな?』
男が青い髪の少女に声を掛けると、彼女は小さく肩を震わせ顔を上げた。そして男の姿をみると途端に深々と頭を下げた。
『おかえりなさいませ、旦那様』
少女がそう言うと、男は困ったように眉根を寄せた。