第103章 決着<肆>
そして、その知らせははるか遠くの鬼殺隊本部。当主である産屋敷輝哉の耳にも届いた。
「そうか、倒したか上弦を・・・。よくやった天元!汐!炭治郎!禰豆子!善逸!伊之助!」
輝哉は討伐に関わった者全員の名を呼ぶと、激しくせき込み夥しい量の血を吐き出した。
その体に救う病魔は、以前の柱合会議の時に見せた時よりも、明らかに彼の体を蝕んでいた。
「輝哉様!!」
妻であるあまねは、えずく彼の背中をさすり、使いの鴉たちは血まみれになった畳を見て慌てたように鳴いた。
「百年!!百年もの間変わらなかった状況が変わった。あまね!」
「はい!」
「わかるか、これは"兆し"だ。運命が大きく変わり始める。この波紋は広がっていくだろう。周囲を巻き込んで大きく揺らし、やがてはあの男の元へ届く」
輝哉は血を手ぬぐいで拭うと、どこか遠くを見るかのように顔を上げた。その目には、この世のどこかにいる男への憎悪が宿っていた。
「鬼舞辻無惨。お前は必ず私たちが、私たちの代で倒す。我が一族、唯一の汚点であるお前は・・・!!」
そこまで言いかけた輝哉は、激しくせき込み先ほどよりも大量の血を吐き出した。それを見たあまねは、すぐさま子供たちを呼び集めると指示を出すのだった。