第102章 決着<参>
梅は遊女として客を取らされることになったのだが、その客の目を簪で突いて潰し、失明させるという事件が起きた。
その報復として、梅は縛り上げられ、生きたまま火あぶりにされるという惨たらしい制裁を受けた。
その時、彼は仕事でそこにはおらず、帰ってきたときに彼の目に映ったのは、真っ黒に焦げた妹の形をしたものだった。
「梅・・・!梅!!」
彼は慌てて駆け寄り、肉が焦げ付く酷い匂いの中で妹を抱き上げた。すると彼女の口からは、か細い泡のような声が漏れた。
「わあああああああ!!!」
彼は妹を抱きしめ、大粒の涙を溢れさせながら天を仰ぎ、喉が枯れんばかりの声で叫んだ。
「やめろやめろやめろ!!俺から取り立てるな!!何も与えなかったくせに、取りたてやがるのか!!許さねえ!!許さねえ!!元に戻せ、俺の妹を!!でなけりゃ神も仏もみんな殺してやる!!」
彼の呪詛の言葉が辺りに響き渡ったその時、その背中を白刃が煌めき、彼はそのまま妹と共に倒れこんだ。
視線を動かせば、そこには片目を包帯で巻いた侍風の男と、女将であろう女が立っていた。
「こやつで間違いないか?」
「はい、そうでございます」
女将は、取り立て先を大怪我させたりと歯止めが効かなくなった彼を疎ましく思い、その厄介払いとして彼に刃を向けさせたのだった。