第102章 決着<参>
「ふざけんじゃねぇぞ!!お前一人だったらとっくに死んでる。どれだけ俺に助けられた!?出来損ないはお前だろうが!弱くて何の取り柄も無い、お前みたいな奴を今まで庇ってきたことが、心底悔やまれるぜ」
妓夫太郎の刃のような言葉は、堕姫の耳と心を引き裂き、突き刺さっていった。
「お前さえいなけりゃ、俺の人生はもっと違ってた。お前さえいなけりゃなあ!!」
堕姫の両目からはたまった涙があふれ出し、ぽろぽろと零れ地面に黒い染みを作っていくが、妓夫太郎はそれに構うことなくさらに言葉を浴びせた。
「なんで俺がお前の尻拭いばっかりしなきゃならねえんだ!!お前なんか生まれてこなけりゃ良かっ・・・」
「・・・嘘だよ」
だが、妓夫太郎の罵声はそれ以上続けられることはなかった。炭治郎の陽だまりのような温かい手が、彼の口を優しく塞いだのだ。
「本当はそんなこと思ってないよ。全部嘘だよ。仲良くしよう。この世でたった二人の兄妹なんだから」
妓夫太郎と堕姫の視線が炭治郎に注がれる中、炭治郎は涙をこらえるようにぎゅっと目を瞑りながら穏やかな声色で言った。
「君たちのしたことは誰も許してくれない。殺してきたたくさんの人に恨まれ、憎まれて罵倒される。味方してくれる人なんていない。だからせめて二人だけは、お互いを罵りあったら、駄目だ」