第102章 決着<参>
「なんで助けてくれなかったの!?」
「俺は柱とワダツミの子を相手にしたんだぞ!?」
「だから何よ!なんでトドメを刺しとかなかったのよ!頭カチ割っとけばよかったのに!!」
「行こうとしてた!!」
「はァ!?」
向かい合って転がったままの妓夫太郎と堕姫の頸が、顔中に青筋を立てながら互いを罵りあっていた。
「耳に飾りをつけたガキが生きてたから、先に始末しようと思ったんだ!そもそもお前は何もしてなかったんだから、柱とワダツミの子にトドメくらい刺しておけよ!」
「じゃあそう言う風に操作すればよかったじゃない、アタシを!それなのに何もしなかった。油断した!!」
「うるせぇんだよ!仮にも上弦だって名乗るんならなぁ、手負いの下っ端くらい一人で倒せ、馬鹿!!」
ぎゃあぎゃあと騒ぎ立てる二人だが、既に頸は少しずつ崩れ始めておりもう永くないことを物語っていた。
大声を出しすぎたせいか、二人は息を切らして互いを睨みつけると、堕姫の両目には涙がみるみるうちにたまった。
「・・・アンタみたいな醜い奴が、アタシの兄妹なわけないわ!!」
堕姫のこの言葉が、炭治郎の胸を酷く締め付けた。自分が言われたわけでもないのに、息が詰まる程苦しくなる。
「きっとアンタなんかとは血も繋がってないわよ。だって全然似てないもの!!この役立たず!!強いことしかいい所が無いのに、何も無いのに!負けたらもう何の価値もないわ。出来損ないの醜い奴よ!!」
堕姫の口から銃弾の様に発射される言葉は、妓夫太郎の耳と心を滅茶苦茶に打ち抜き、飛び散った。