第102章 決着<参>
汐を宇髄たちの元で待たせた後、炭治郎は禰豆子に背負われながら、鬼の血の匂いを辿って瓦礫の中を歩き回っていた。
「禰豆子、向こうだ!!鬼の血の匂いがする!」
炭治郎が指を差した方向には、小さなちゃぶ台程の大きさの血だまりがあった。
(・・・。よし、もう攻撃して来ない)
炭治郎は刀を抜き、警戒しながらそっと近づくと、以前愈史郎からもらった採血用の小刀を血だまりに浸した。
(上弦の鬼の血を採れた・・・!!)
上弦の鬼は無惨の血がかなり濃く、これならば鬼を人間に戻す薬の完成に大きく近づくだろう。炭治郎の気持ちは逸り、心臓は早鐘の様に打ち鳴らされ、手は微かに震えた。
そんな彼の足元で猫の鳴き声がした。視線を向けてみれば、愈史郎の【目】を付けた一匹の三毛猫が、ちょこんとおとなしく座っていた。
炭治郎は小刀を猫に渡すと、猫は一鳴きした後溶けるように姿を消した。
辺りを見回せば、凄惨な状況の割に人の気配はなく、炭治郎の鼻にも人の血の匂いはしなかった。
まきをたちが町の住民を避難させてくれていたおかげで、被害は最小限に食い止められていたようだ。
その時、炭治郎の鼻が微かな鬼の匂いを捕らえた。まだ生きている。
炭治郎は禰豆子にその場所に連れて行くように頼むと、禰豆子は頷き足を進めた。
匂いが強くなるにつれ、遠くから声のようなものが聞こえてきた。耳を澄ませてみれば、それは聞くに堪えない罵詈雑言の嵐だった。