第101章 決着<弐>
「音柱・宇髄天元。貴方がいなければ、私たちは今こうして立っていることはなかっただろう。貴方へ私は、感謝と敬意を表する」
「へ?あ、ああ」
汐の突然の変わり様に宇髄は面食らうが、汐はそんな彼に構わず、にっこりと笑った。
「その代わり、これからは嫁さんをもっともっと大事にしてやんなさいよ。刀は握れなくとも、嫁さんを抱きしめたりすることくらいはできるでしょ?あんたがこれからするべきことはそれよ」
「・・・オメー、実は年齢サバ読んでんじゃねえのか?」
「・・・柱としてだけでなく、男としても再起不能になりたいようね」
汐が目を剥いてすごむと、三人の妻たちは髪の毛が逆立つほど驚き、宇髄を守るように抱きしめた。
「・・・冗談よ。さて、あたしは炭治郎の様子が気になるから、行ってくるわね」
そう言って汐は無理やり足を引きずるようにしてその場を後にした。
少し歩くと、どこからか言い争う声が聞こえ、汐はその方向に顔を向けた。
そこには座り込む炭治郎と、騒ぎ立てる二つの鬼の頸があった。