第101章 決着<弐>
面識のある宇髄はともかく、面識のない妻たちはいきなり現れた見知らぬ少女に困惑するが、そんなことを構うことなく禰豆子は宇髄の腕にそっと手を乗せた。
その瞬間、宇髄の身体が真っ赤な炎に包まれた。
「ギャアアアッ!!何するんですか、誰ですかあなた!!」
突然のことに須磨は悲鳴を上げ、火だるまと化した夫を見て再び喚きだした。
「いくらなんでも早いです火葬が!!まだ死んでないのにもう焼くなんて!!お尻を叩きます、お姉さんは怒りました!!」
須磨は禰豆子を引きはがすと、鬼のような形相で禰豆子を叱りつけた。しかし、宇髄はそんな須磨を制止させると、自分の腕を眺めながら、驚いたように言葉を紡いだ。
「こりゃ一体、どういうことだ?毒が、消えた・・・」
妻達が視線を向けると、毒で爛れていた宇髄の肌はすっかり癒えていた。そんな彼を見て、彼女たちはいっせいに夫に抱き着き涙を流した。
「禰豆子の血鬼術が、毒を燃やして飛ばしたんだと思います。俺にもよく分からないのですが・・・」
追いついた炭治郎は、宇髄の身体を見ながら安心と心配を宿した目で彼を見つめながら言った。
「傷は治らないので、もう動かないでください。御無事で良かったです」
「こんなことあり得るのかよ、混乱するぜ。って、お前も動くなよ。死ぬぞ」
「俺は鬼の頸を探します。確認するまで安心はできない。汐はここで待っててくれ、すぐに戻るから」
炭治郎はそう言うと、禰豆子に背負われながら瓦礫の中へ消えていった。
残された汐は小さくため息を吐くと、身体を引きずりながら宇髄の元へ歩いていった。