第100章 決着<壱>
「はああああ!?」
妓夫太郎が思わず叫ぶと、汐は鎌を噛み砕き、空いた両手を妓夫太郎の両目に突き刺すとそのまま彼の目玉を抉り取った。
「ギアアアアアア!!!」
妓夫太郎の濁った悲鳴が響き、足元が大きくぐらついた。だが、それでも彼は汐に向かって血の刃を飛ばし、その一つが汐の額を滑り真っ赤な花を咲かせた。
「うしっ・・・」
「怯むな!!やれえ!!!」
思わず声を上げる炭治郎だが、汐の雷のような声に身体を震わせると、彼はそのまま大きく跳躍すると刀を振り上げた。
(クソが、クソが!!なめやがってガキ共が!!)
しかし妓夫太郎は急速に目を再生させると、残った鎌で、炭治郎の顎を貫いた。
(お終いだなあお前等。あの女もテメエも、毒で死ぬぜ)
妓夫太郎の顔に勝ち誇った笑みが浮かぶが、炭治郎の目はそれでも光を失わなかった。
(斬る!!頸を斬る!!諦めない、絶対に斬る!!最後まで足掻く!!)
炭治郎はすでにボロボロになっている手で刀を握りなおすと、そのまま刃を妓夫太郎の頸に叩きつけた。
猛毒が体内に回っているはずなのに、その力は全く衰えていなかった。
(コイツ、まだ刀を振りやがる!!馬鹿が、先刻だって俺の頸を斬れなかったくせになああ)
(腕だけじゃ駄目だ、全身の力で斬るんだ!頭のてっぺんから爪先まで使え!身体中の痛みは全て忘れろ!喰らいつけ!渾身の一撃じゃ足りない!!その百倍の力を捻り出せ!!)
斬りかかってくる炭治郎を見て、妓夫太郎は息をのんだ。炭治郎の額の傷が、炎の様な真っ赤な文様に変化していた。