第98章 役者は揃った<参>
(糞が、糞が!!糞鬼が!!また息をするように人を殺すのか!!なんで人の絆をたやすく奪うのか!!なんでお前等みたいなやつらが存在しているんだ!!死ね、死ね!!死んでしまえ!!)
死ねえええええええーーーーー!!!!
汐が心の中で叫んだ瞬間、首輪が汐の首を絞めつけた。だが、それよりも早く、妓夫太郎の身体に異変が起こった。
鎌を握った反対の手が震えだしたかと思うと、その刃を自らの頸に突き立てたのだ。
「はあ?」
これには妓夫太郎はおろか雛鶴も目を見開いた。その手は彼の意思に反し、どんどん己の頸に食い込んでいく。
(なんだ?なんだこれは?身体が勝手に動いてやがる・・・!!)
妓夫太郎が視線を動かすと、その先には全身の血管を浮き上がらせ、自分を鬼の形相で睨みつける汐の姿があった。
その風体に妓夫太郎の身体が微かに震え、同時に彼の本能が一つの結論をたたき出した。
――ワダツミの子は怪物だ。早急に始末しろ。