第96章 役者は揃った<壱>
「ん?んん?んんんん?」
宇髄は二人に向かって不敵な笑みを浮かべるが、その様子を見ていた妓夫太郎はにやりと嫌な笑みを浮かべた。
「ひひっ、ひひひっ、やっぱり毒効いてるじゃねぇか。じわじわと。効かねぇなんて虚勢張って、みっももねぇなぁあ、ひひっ」
妓夫太郎の言う通り、宇髄の顔はは毒々しい紫色にただれ始めていた。しかし宇髄はそれをさほど気にするそぶりも見せず、高らかに言い放った。
「いいや全然効いてないね、踊ってやろうか。絶好調で天丼百杯食えるわ、派手にな!!」
そう言った瞬間、宇髄は瞬時に二人と距離を詰め日輪刀を振りぬいた。妓夫太郎が鎌を振り上げ、堕姫が帯を伸ばし、宇髄の身体を刻もうとした。
だが宇髄は二本の日輪刀で瞬時に堕姫の帯を切り刻み、妓夫太郎の鎌を受け止めると、その強靭な左足で堕姫の腹部を思い切り蹴り上げた。
「俺の妹を蹴んじゃねぇよなあ」
「この糞野郎!!」
宙に舞う堕姫は帯を、妓夫太郎は鎌で日輪刀を弾くと宇髄に向かって振り上げた。しかし、宇髄と彼らの間には先程の爆薬の玉が浮かび、鎌と帯がそれに触れた瞬間凄まじい爆発が起こった。
その熱風に堕姫は悲鳴を上げ、妓夫太郎はその爆発から素早く離れると、至近距離での爆発の割に軽傷な宇髄の日輪刀が頸に伸びていたのに気づいた。
彼はすぐさまその一撃を躱すと、冷静に分析をし始めた。