第95章 バケモノ<肆>
禰豆子の目から涙があふれ出したかと思うと、彼女は子供のように声を上げて泣きだした。
その涙が鬼の力を洗い流すかのように、身体の文様は消えみるみるうちに幼子の姿になった。
そしてそのまま、禰豆子は寝息を立て始めた。
「寝た・・・母さん、寝たぁ・・・。寝ました、宇髄さん・・・。寝たよ、汐・・・」
炭治郎は安堵のあまり腰を抜かしそうになったが、残してきた汐が傷を負っていたことを思い出した。
「そうだ、汐・・・。汐の怪我の手当てをしないと・・・」
しかし禰豆子を抱えたまま戻るわけにもいかず、炭治郎はどうしたものかと上を見上げた時だった。