第94章 バケモノ<参>
(何が起こったの!?全然見えなかった。っていうか、刀いつ抜いてたのよ!?)
(斬った!!頸が落ちてる!!宇髄さんが斬ったのか!?すごい・・・!!)
二人が呆然とする中、禰豆子が再び咆哮を上げながら暴れ出し、炭治郎は慌てて手に力を込めた。
「おい、戦いはまだ終わってねぇぞ。妹をどうにかしろ」
宇髄は淡々と言葉を紡ぎながら、炭治郎に顔を近づけながら言った。
「どうにかって、あたしたちにできることは全部やったのよ!だけど、だけど駄目なのよ!」
「うるせえ、喚くな。ぐずりだすような馬鹿ガキは、戦いの場に要らねぇ。子供には地味に子守唄でも歌ってやれや」
「だからそれはさっきやって――」
汐が宇髄に文句を言おうとしたとき、禰豆子はひときわ大きな声を上げるとそのまま炭治郎と共に窓を突き破って外に落ちていった。
「炭治郎!」
汐は慌てて追おうとするが、宇髄が腕を掴み制止させた。睨みつける汐に、彼はため息を一つつくと首を横に振った。
「お前にできることはもう何もねえよ」
その言葉が、汐の心に小さな棘となり突き刺さっていった。