第90章 蠢く脅威<参>
うおおおおおおおおお!!!!!
一方。上弦の鬼、堕姫を爆砕歌で吹き飛ばした汐は、着物を脱ぎ棄てその頸をとらんと斬りかかった。
だが、堕姫はすぐさま空中で体勢を立て直すと、汐に向かって纏っていた帯を差し向けた。
汐は直ぐに刀を正面に戻し、襲い来る帯を凄まじい速さで捌き切り、身をひねって屋根の上に降り立った。
「まさか鯉夏に成りすましていたとはね。あの香は匂いを隠すための工作。人間の割には知恵が回るわね」
堕姫は嘲るようにそう言うと、自分を睨みつける汐を見て目を細めた。
「だけどアンタは柱じゃないわね。力が弱いもの。鬼狩りは何人いるの?一人は黄色い頭の醜いガキでしょう?」
堕姫の言葉に、汐は善逸が彼女の手に落ちていることを悟り目を鋭くさせた。
「柱は来てるの?アタシは年寄りと不細工は食べないの。柱じゃない奴はいらないのよ」
堕姫の眼をみて、汐はその禍々しさと不快感で吐き気がこみ上げてきたが、それを耐えるように刀を握りなおした。
(ふっざけんじゃないわよ。何なのよアイツの眼。今まで戦ってきた雑魚なんかとは比べ物にならない程、禍々しい眼をしているわ。みっちゃんと蛇男の訓練を受けていなかったら、一瞬で全身刺身にされていた・・・!こんなやつに後何分もつか・・・・炭治郎・・・!!)
堕姫は帯をぐねらせながら汐ににじり寄るが、ふと何かに気づいたように目を微かに開いた。