• テキストサイズ

【鬼滅の刃】ウタカタノ花

第89章 蠢く脅威<弐>


「話の腰を折るようで悪いんだけれどちょっといい?それとも始終黙ってなくちゃいけない?」

「い、いや。さっきは悪かった。それで、どうしたんだ汐?」

汐から殺意に近い匂いを感じた炭治郎は、身の危険を感じつつ声を微かに振るわせながら問いかけた。

「炭治郎が言っていた隠し通路っていうのはいい線言っていると思う。だけど、あたしが思うにひょっとしたら鬼は使い魔のようなものを使っているんじゃないかと思うのよ」

「「使い魔?」」

炭治郎と伊之助が首をかしげていると、汐は声を潜めながら言った。

「前に行った任務で自分の身体の一部を人形に変える鬼と戦ったんだけれど、そいつみたいに自分の力を切り離して自由に動ける使い魔みたいにしていれば、自分が動けなくても人間を殺す、もしくは捕まえることが可能なんじゃないかしら?鬼なんて何でもありな連中だもの。もしもそうなら、萩本屋にいたはずの鬼が、善逸をどうにかすることも不可能じゃない」

「一理あるな。もしも汐の仮説が本当なら、人が通れないような隙間でも簡単にすり抜けられるし目撃される可能性も少ない」

「じゃあ俺が見つけたのは鬼じゃなくてその使い魔かもしれねえってことか?」

伊之助の言葉に汐と炭治郎は同時にうなずいた。

「でもあくまで仮設。そうじゃないかもしれないから用心に越したことはないわ」

「そうだな」

「それに、あたしには善逸がこのままくたばるとは到底思えない。本能と執着心が服を着て歩いている奴よ?」

「それだと褒めているんだか貶しているんだかわからないけれど、俺もそう思う。それに、宇髄さんの奥さんたちもきっと生きていると思うんだ」

二人の言葉に確証はない。だが、少なくとも二人の心には最悪の結末など想像するつもりは微塵もなかった。
/ 1491ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp