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【鬼滅の刃】ウタカタノ花

第89章 蠢く脅威<弐>


しばしの沈黙が辺りを満たし、炭治郎の溜息がその沈黙を破った。

「俺たちが一番下の階級だから信用してもらえなかったのかな・・・」

炭治郎は悲し気に視線を下に向けて言うが、その言葉に汐と伊之助は違和感を感じた。

「あれ?あんたもう階級上がってんじゃないの?」
「え?」
「俺たちの階級“庚(かのえ)”だぞ。もう上がってる。下から四番目」

汐と伊之助の言葉に炭治郎は目を丸くし、伊之助は徐に右手を握ると「階級を示せ!」と口にした。
すると伊之助の手の甲に庚(かのえ)という文字が浮かび上がった。

その仕組みを知らなかった炭治郎は呆然とした表情のまま汐を見て言った。

「汐、お前知ってた?」
「あ、うん。みっちゃん、師範に聞いてね。まああの時は疲れ切っててそれどころじゃなかったし、あたしだって言われるまで知らなかったんだからあんまり気にするんじゃないわよ」

肩を落とす炭治郎を汐と伊之助が慰める中、汐はふと思いついて自分の左手を見た。

「久しぶりにあたしもやってみよう。階級を示せ」

汐も伊之助と同じように左手を握りそう口にすれば、彼女の手の甲に文字が浮かび上がった。
しかし浮かんできた文字は庚(かのえ)ではなく己(つちのと)になっていた。

「あれ、あたし階級上がってる。なんで?」
「なんでって、お前柱の奴と任務行ったりしてんだろ。そのせいじゃねえか?」
「あーそうか、なるほど。って、伊之助が賢くなってる!?あんたどっか頭打ったんじゃないの!?」
「はあ!?なんだとテメー!今まで俺のことを何だと思ってやがったんだ!?」

憤慨する伊之助に汐が「猪突猛進馬鹿」と答えれば、伊之助は頭から湯気を吹き出し「ムキーッ!!」と叫んだ。

「伊之助止めろ!汐もいちいち挑発するな!今はそんな場合じゃないだろう!」

炭治郎は何とか二人を落ち着かせると、真剣な表情で見まわして言った。
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