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【鬼滅の刃】ウタカタノ花

第88章 蠢く脅威<壱>


鯉夏の部屋を出て、汐は稽古の為に廊下を足早に駆けて行った。

(足抜け、偽造された日記。須磨さんはほぼ間違いなく鬼の手に落ちたと考えていいわね。鬼に感づかれたのか、それとも獲物として狙われたかは定かじゃないけれど、どっちにしてもここに鬼の手が伸びてることは間違いない)

だけど、と汐は考えを巡らせながら生まれた疑問を考え始めた。

(鬼は昼間は活動できないから、日の光が当たらないどこかに潜伏している。現に鬼の気配は本当に微かだけれどするし、鬼がいるのは間違いない。だけど、どうやって出入りしているのかがわからない。もしも外で動きがあれば、派手男から何らかの合図があるはず。だけどそれがないってことは・・・店の中に鬼がいる可能性が――)

汐は考えながら足を進めていたが、ある角を曲がった瞬間。

「!?」

身体に張り付くような奇妙な気配を感じ、汐は思わず振り返った。しかしそこには誰も折らず、廊下だけが伸びている。

(何?今の変な感じ。鬼の気配に近かったけれど、一瞬でわからなかった。伊之助だったらもっと敏感に探知できるだろうし、炭治郎や善逸も匂いや音で察知できるでしょうね)

汐は皆のような索敵能力がないことに歯がゆさを感じたが、すぐさま頸を振ってその想いを払う。

(そんなことを言っている場合じゃないわね。あたしにはできることをしないと。あたしがへまをしたら、店の連中だけじゃなく炭治郎達も危なくなる。正直なところ状況は最悪だけど、信じなきゃ。必ず助けるわ、須磨さん・・・!だかああんたも、諦めるんじゃないわよ)

汐は両手で頬を打ち鳴らし、気合を入れると稽古場へ足早に向かった。この後、女将にどやされることになるとは知らずに――
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