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【鬼滅の刃】ウタカタノ花

第87章 鬼潜む花街<肆>


汐が去った後、炭治郎は先ほどの別人のようになった彼女の姿を思い出しては、早鐘のように打ち鳴らされる心臓に困惑していた。

どうも最近、汐のことを考えると調子がいつもと違うような気がする。

そのせいかは定かではないが、最近汐から漂う匂いが前よりも甘く売れた果実のようないい匂いになっている気がするが、何故そうなのか炭治郎は全く理解できなかった。

「炭子ちゃん、炭子ちゃん」

部屋の外から声が聞こえ、炭治郎がて襖を開けると、店の者が少し慌てた様子で顔を出した。

「休んでいるところ悪いけれど、すぐに手伝ってくれないかい?人手が足りなくて」
「わかりました。すぐに向かいます!」

炭治郎は持ち前の人柄と鬼殺隊として鍛えた力を存分に発揮して仕事をこなしていた。
汐が入ったことにより上機嫌になった女将のせいか、店の雰囲気が先ほどよりも明るい。

炭治郎は仕事をこなしつつも、須磨のことを探るため悪いとは思いつつもたくさんの人の話に聞き耳を立てていた。

「それにしても、女将の奴。さっきまで茹蛸みたいに顔を真っ赤にして怒っていたかと思いきや、今度は手のひら返して上機嫌。なんでもものすごい化け物じみた子が入ったとか」

「その子の前に買った子を連れてきたのもすごくいい男だったらしいわね。海旦那の再来なんていわれていたくらいの」

「海旦那、ね。昔ほぼ毎日廓に通い詰めては大金を落としていく、伝説の客だったかしら。どこかのお侍さんみたいな風貌だったけれど、派手で豪快で、女を買うためならいくら金を落としても構わないっていう人だっけ」
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