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【鬼滅の刃】ウタカタノ花

第84章 鬼潜む花街<壱>


「女の隊員が必要なんでしょ?だったらあたしが行ったって何の問題もない筈よね?」
「お前は甘露寺の継子だ。あいつの許可がない限り、お前を連れて行くわけにはいかねぇ」
「その件は心配ないわ。みっちゃん、師範は基本的にあたしの意思を尊重してくれる人よ。あたしがしたいことを無理に止めたりはしないの」

汐はふんと鼻を鳴らしながら宇髄を睨みつけ、彼もまた汐の顔を舐めるように見据えた。その時だった。

「駄目だ!汐だけ行かせるわけにはいかない!!俺たちもいく!!」

いつの間にか宇髄の左側には善逸が。右側にが伊之助が陣取り、囲むような体制をとった。

「今帰った所だが、俺は力が有り余ってる!行ってやってもいいぜ!」
「アアア、アオイちゃんを放してもらおうか、たとえアンタが筋肉の化け物でも俺は一歩も ひひひ、引かないぜ」

自信に満ちた声で高らかに言う伊之助と、震えて噛みながらもなんとか言葉をつなぐ善逸。炭治郎と汐は黙ったまま静かに宇髄を見据えていた。

そんな彼らに、宇髄は殺気を放ち、空気がびりびりと音を立てるような感覚が皆を襲った。しかし炭治郎は必死で耐え、伊之助は睨み返し、善逸は怯えながらも歯を食いしばり耐え、そして汐はあろうことか、その殺気を更に増幅させた殺意で返した。

そんな彼らを見て、宇髄は眼を少し細めると、

「あっそォ。じゃあ一緒に来ていただこうかね」

拍子抜けするほどあっさりとその提案を受け入れた。
その変わり様に炭治郎は不信感を募らせ、汐も感情の読めない眼に困惑した。

「ただし俺に逆らうなよ。特にそこの騒音阿呆娘は派手にな」
「阿呆も騒音も余計だ馬鹿が」

アオイの臀部を叩きながら得意げに言う宇髄に対し、汐は吐き捨てるように言った。

「で、こんな騒ぎまで起こすほど、あんたが行く場所ってどこなのよ?」

汐が腕を組みながら睨みつけるように言うと、宇髄はその態度の大きさにこめかみを引き攣らせつつも口を開いた。

「日本一色と欲に塗れたド派手な場所――」

――鬼の棲む、遊郭だよ

宇髄の言葉に炭治郎と伊之助は首を傾げ、善逸は瞬時に顔を赤くし、そして汐は。

汚物を見るような眼で宇髄を見つめた。
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