第82章 幕間その伍:産屋敷輝哉の頼み事
「さて、私はこれから少し用事があるから離れるから、しおちゃんは隠の人と一緒に先に帰ってもらえる?」
甘露寺はそう言って隠に汐を託すと、自分は別方向へと足を進めていった。
隠は頷くと汐の目を隠し、背負おうとしたその時だった。
「ぎ・・・」
「ぎ?」
「ぎ・・・・ぎ・も゛ぢ わ゛る゛い゛・・・」
顔を真っ青にしてえずく汐に、隠は同じくらい顔を真っ青にして叫んだ。
「おい、おいしっかりしろ!ま、待ってろ、そのまま待ってろ!」
隠は慌てて懐から袋がいくつも重なったものを取り出し汐に渡した。その数秒後、汐はその袋に救われ、最悪の事態は免れた。
それ以来、汐を運ぶ隠達の懐には、その袋が常備されるようになったとかそうじゃないとか。