第81章 幕間その伍:柱だヨ!全員集合?(後編)
こうして汐の波乱に満ちたあいさつ回りが終わり、稽古をつけてもらっていた時よりも何倍も疲れた彼女は、家に帰るなりすぐさま布団に倒れこんだ。
(あ゛ー、疲れた。今まで生きてきて一番疲れた気がするわ。だけど、柱にああも啖呵を切ったわけだし、炭治郎と禰豆子の為にも、がんばらない・・・と)
しかし汐の意識は決意とは裏腹に、その疲労に引きずられるようにして闇の中に沈んでいくのだった。
その夜、汐は不思議な夢を見た。深い深い水の中、海の底に引きずられるようにして沈んでいく。
自分を包み込む泡は、何故か冷たく、汐の体を突き刺していく。
そんな彼女の視線の先には、海の底で静かに咲く、青白く光る一輪の花があった。花びらがいくつも重なった、蓮とも百合とも取れない不思議な形をした花。
周りは水で満たされているというのに、その花は静かに咲いていた。
汐はその花に何故か見覚えがあるような気がした。しかし、水の中で咲く花など聞いたことがない。
汐はその花にそっと手を伸ばして触れようとしたその時だった。
花が突然泡のようになり、水に溶けて消えていく。
(駄目ッ・・・!逝っちゃ駄目ッ!!)
それを見た瞬間、汐の胸に突然悲しい気持ちが沸き上がり、理由もないまま泣き叫んだ――