第81章 幕間その伍:柱だヨ!全員集合?(後編)
「不死川、さん」
汐は上ずりながらも声をかけるが、不死川はそれに答えることなく刀を振るう。その態度にムッとしながらも、汐は震える頭をゆっくり下げた。
「柱合裁判の時、殴ってしまった上に殺そうとしてしまって、すみませんでした」
震える声で謝罪の言葉を口にすると、刀を振る不死川の手が止まる。そしてゆっくりと振り返り、汐の青い髪を見据えた。
「てめぇ、まさか謝って許されるとでも思っているのか?ごめんで済んだら警察なんざいらねぇんだよ。形だけの謝罪なんざ何の意味もねぇ。俺はお前を許す気も認める気もさらさらねえんだ。消えろ」
不死川は冷たく言うと、再び汐に背を向け刀を手に取る。汐は顔を上げると、不死川の背中に向かって言い放った。
「わかっている。あたしのしたことが許されないということは。けれど、これだけは言わせてもらうわ。あたしは炭治郎と禰豆子を信じるし、あんたがあたしを認めないというなら、力づくで認めさせてやる。あたしたちが鬼殺隊員として戦えるって、証明して見せる!!」
汐の凛とした、無礼極まりない言葉に甘露寺の肩が跳ね、不死川も思わず振り返り汐を見た。彼女の眼には、これ以上ない程の強い決意と矜持、そして微かな野望すら見えている。
まるで獣のようなその眼光に不死川の身体が微かに震えたが、不意に謎の衝動が彼の奥底から湧き上がってきた。
「・・・上等だァ」
不死川は汐に近づき、冷たい眼で見降ろし、そんな彼に、汐は殺意と意地を込めた眼で睨み返した。