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【鬼滅の刃】ウタカタノ花

第78章 幕間その伍:さがしものとわすれもの


「【例のもの】は見つけたのか?」
「調べましたが確かな情報は無く存在も確認できず――・・・、“青い彼岸花”は見つかりませんでした」
「で?」

猗窩座の報告に、無惨は冷たく一瞥すると、彼は頭を下げながら答えた。

「無惨様の御期待に応えられるよう、これからも尽力致します。ご命令通り、柱の一人も始末して参りましたので御安心くださいますよう・・・」
「お前は何か思い違いをしているようだな、猗窩座」

無惨は猗窩座の言葉を遮ると、人差し指を突き付けながら先ほどよりも冷たい声で言い放った。その瞬間、猗窩座の身体が縛り付けられたように動かなくなった。

「たかが柱一人、それを始末したからなんだと言うのか?鬼が人間に勝つのは当然の事だろう」

無惨が話を進めるたびに猗窩座の身体が音を立ててきしみ、体中にひびが入りだす。

「私の望みは鬼殺隊の殲滅。一人残らず叩き殺して二度と私の前に立たせないこと。複雑なことではないはずだ。それなのに未だ叶わぬ・・・。どういうことなんだ?」

怒りのあまり全身に血管を浮かび上がらせながら、無惨は持っていた書物の頁を掻き毟るように破り捨てた。

「お前は得意気に柱を殺したと報告するが、あの場にはまだ四人の鬼狩りがいた。しかもそのうちの一人はワダツミの子。なぜ始末して来なかった?わざわざお前を向かわせたのに・・・猗窩座、猗窩座、猗窩座、猗窩座!!」

無惨の声が猗窩座に何度も突き刺さり、それを象徴するかのように彼の目や鼻や口からはおびただしい量の血が噴き出した。

「お前には失望した」

そんな猗窩座を無惨は冷たく一瞥すると、興味を失ったように視線を逸らした。

「まさか柱でもない隊士から一撃を受けるとは。上弦の参も堕ちたものだな」

その言葉に微動だにしなかった猗窩座の身体がピクリと動いた。そんな彼に無惨は興味を示すことなく「下がれ」とだけ告げた。
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