第77章 誇り高き者へ<肆>
痛みが走り、口が切れても、汐の怒りと悲しみは止まらなかった。
(くそっ、くそっ、くそっ!!何がワダツミの子だ!何が大きな戦力になる声だ!!煉獄さんも助けられない、炭治郎にこんな悲しい眼をさせて、こんな思いまでさせて!!こんなことまでさせて!!!)
殴られ続ける汐を炭治郎が制止させ、反対に殴られる炭治郎を汐が阻止させつつ、三人の殴り合いはつづけられた。それを千寿郎は止めようと何度も声を上げる。
(畜生!畜生!!畜生!!!)
「畜生ォォォォォォオオオオ!!!」
汐が怒りの咆哮を上げた瞬間、彼女の周りに爆発的な空気の流れが起き、その勢いになすすべもなく、槇寿郎と炭治郎は吹き飛ばされた。
「汐!!」
顔に傷を負った炭治郎が叫ぶと、槇寿郎は初めて汐が青い髪をしていることに気が付いた。
「青い髪・・・お前、まさか・・・!」
「うわあああああああああああああ!!!」
汐はそのまま拳を振り上げ一直線に殴り掛かる。だが、槇寿郎の拳の方が速く、汐はその一撃を顔面で受け止めた。
吹き飛ばされ意識が遠のいていく中、最後に見たのは炭治郎が回転しながら頭突きをかます瞬間だった。