第77章 誇り高き者へ<肆>
「そいつが“日の呼吸”の使い手だからだ。その耳飾りを俺は知っている。書いてあった!」
その怒りはすさまじく、まるで仇を見るかのような眼で彼は炭治郎を睨みつけていた。
「“日の呼吸”は、あれは、【始まりの呼吸】!!一番初めに生まれた呼吸、最強の御技。そして全ての呼吸は“日の呼吸”の派生。全ての呼吸が“日の呼吸”の後追いに過ぎない。“日の呼吸”の猿真似をし、劣化した呼吸だ!火も水も風も全てが!!」
その言葉を聞き、炭治郎は愕然とした表情で槇寿郎を見た。炭治郎の家は代々炭焼きで、それは間違いない。剣士になった者など一人もいなかった。
一方汐も、突如明かされたことに呆然としながら炭治郎を見た。しかし汐は、その“日の呼吸”に何故か聞き覚えがあったような気がした。
しかし
「“日の呼吸”の使い手だからといって調子に乗るなよ小僧!!」
槇寿郎のこの言葉に、ついに汐と炭治郎が爆発した。
「これが調子に乗っているように見えるのか!?テメエの目は節穴か耄碌(もうろく)!!炭治郎が、あたし達があの人を救えなくてどれだけ悔しかったと思っているんだ!」
「俺達が自分の弱さにどれだけ打ちのめされてると思ってんだ!」
「「この糞爺!!煉獄さんの悪口を言うな!!」」
二人は怒りと悔しさに涙を流しながら、槇寿郎に殴りかかった。
「危ない!父は元・柱です!!」
千寿郎が慌てて制止するも二人は止まらず、槇寿郎の裏拳が炭治郎を殴り飛ばし、殴りかかった汐は頭を掴まれ投げ飛ばされた。