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【鬼滅の刃】ウタカタノ花

第71章 狂気の目覚め<弐>


「残念。交渉決裂ってことか」
「こっちに全く有益がない話に、交渉もくそもないでしょ。あんたの眼を見てると不愉快すぎて死にそう。悪いけど、さっさと片を付けさせてもらうわ」

汐も炭治郎同様刀を構え、その切っ先を魘夢に向ける。二人は視線を合わせると、大きく息を吸った。

水の呼吸
拾ノ型 生生流転!!
海の呼吸
弐ノ型 波の綾!!

二人はそのまま同時に魘夢に斬りかかろうと、一気に距離を詰めた。すると魘夢は不気味な笑みを崩さぬまま、左手の甲を二人に向けた。

――血鬼術・強制昏倒催眠の囁き――

『お眠りィィ・・・』

その声が二人の耳に入った瞬間、体がぐらりと傾く。だが、それは一瞬のことで二人はすぐさま顔を上げると、再び足を動かした。

(二人とも眠らない)

『眠れぇぇ、眠れぇぇ』

再び手の甲の口がささやくが、二人の足は止まらない。何度も術を試みても一向に眠る様子がない二人に、魘夢の顔に焦燥が浮かんだ。

(効かない、どうしてだ?いや、違う、これは・・・こいつらは何度も術にかかっている。かかった瞬間に、かかったことを確認し、覚醒のための自決をしているのだ。
夢の中だったとしても、自決をするということ。自分で自分を殺すと言うことは、相当な胆力がいる。このガキ共は――)

「まともじゃない。そう思っているでしょう?」

心の中を見透かすような汐の邪悪な声に、魘夢の体が大きく跳ねた。汐はにたりと歪んだ笑みを浮かべ、再び息を吸う。

「まともじゃないあたしとつるんでいる連中が、全員まともなわけねぇだろうが!」
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