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【鬼滅の刃】ウタカタノ花

第71章 狂気の目覚め<弐>


「君は隠したいと思っているかもしれないけれど、俺には全部お見通しだよ。君は本当は鬼狩りの使命とか、俺の頸とか本当は全部どうでもいいんだ。君が望むのはただ徒に刃を振るい、自分以外のものをひたすら殺したい。いや、自分すらも本当は殺したい。殺したくて殺したくてたまらない。ただ醜く狂う、殺意の塊。それが君の本性だ」

「聞くな汐。耳を貸すな!」

魘夢の言葉を炭治郎は必死に遮るが、汐は言葉を発さずただ魘夢の言葉を聞いていた。

「そんな素晴らしいものを隠し、封じてまで無理をすることはないんじゃないかな。誰かを殺したい。満たされたい。けれど人間にはそれは許されないこと。君を理解する者はきっと誰もいない。でも俺なら?鬼ならそんな小さなことで苦しむ必要もない。君がしたいことを好きなだけできるんだ。君の満たされない欲望も、鬼になればすべて満たすことができるかもしれないよ。君が望むなら、あの方に口利きしてあげてもいい」

にやりと意地の悪い笑みを浮かべる魘夢に対して、汐は俯き何も言わない。炭治郎は必死に汐に鬼の言葉を聞かないよう説得した。

(さあ、君のその醜い心をもっと見せてよ。そして仲間に軽蔑され、絶望し苦しみに歪む顔を俺に見せてよ・・・!)

魘夢は顔を高揚させ、汐の心が壊れゆく瞬間を今か今かと待っていた。汐からにじみ出る殺意の匂いを感じ、炭治郎の眼が揺れたその時だった。
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