第69章 無限列車<肆>
「しかし、そんなことで俺の情熱は無くならない!心の炎が消えることはない!俺は決して挫けない!そして千寿郎。お前は俺とは違う!お前には兄がいる。兄は弟を信じている」
煉獄の言葉に、千寿郎の目にみるみるうちに涙がたまり、その雫がぽろぽろと零れ落ちる。そんな彼を、煉獄は優しく抱きしめた。
「どんな道を歩んでも、お前は立派な人間になる!燃えるような情熱を胸に。頑張ろう!頑張って生きて行こう!寂しくとも!」
泣きじゃくる弟の背中をさすりながら、煉獄は決意を込めた声色でそう言った時だった。
――ねんねんころり、ねんころり。ころりとおちるはなんのおと――
「ん?」
何処からか幼い少女の歌が聞こえ、煉獄は思わず顔を上げた。母親は随分前に亡くなり、自分たちに姉妹はおらず、女中にしては声が幼すぎた。
そしてなぜか、煉獄はその歌声を酷く愛しく感じた。まるで大切な何かを見落としているかのように――