第67章 無限列車<弐>
「え!?い、今、美しいって・・・」
「ああ!とても美しい歌声だった!」
「・・・なんだ、歌ね・・・」
「そして、その歌を奏でる君もまた、目を奪われるほどに美しかった!!」
一度下げられたと思いきや再び絶賛され、汐の顔は青から赤へと様々な色に変わる。そんな彼女を炭治郎は(忙しそうだな)とぼんやり考えていた。
「だが、残念ながら最後まで聴くことはできなかったが、もしも君にもう一度会えたなら、ぜひ最後まで聴きたいと思っていた!もしも君さえよければ、俺にあの時練習していた歌を最後まで聴かせてくれないか?」
「え?あ、はい。あたしでよければ」
汐は煉獄の勢いに流されて思わず返事をしてしまうと、煉獄は目を輝かせ、心の底からうれしそうに笑った。
「本当か!?なら約束だ!!」
思わぬ約束を交わされて汐は面食らったが、彼が本当に楽しみにしていることは確かであり、何より自分の歌をほめてくれたことに悪い気はしない。
にっこりと笑って小指を自分に向ける煉獄に、汐も微笑んで自分の指をからませた。