第67章 無限列車<弐>
「うおおおおお!!腹の中だ!!」
車内に入るなり伊之助は興奮が最高潮に達したのか、声を上げて騒ぎ出した。
「主の腹の中だ!!うぉおお!!戦いの始まりだ!!」
「うるせーよ!」
そんな伊之助に善逸が声を荒げながら制止し、そんな善逸を見ながら汐は「普段はあんたがうるさいけどね」と冷ややかに突っ込んだ。
車内には数人の客が降り、眠っている者、会話をしている者、本を読んでいる者など様々だ。
汐達はあたりを見回しながら目的の人物を捜すが、それらしき人の姿は見当たらない。
「柱だっけ?その煉獄さん。ちゃんと顔とかわかるのか?」
「すぐわかると思うわよ?ものすごく特徴的だし」
「そうそう。派手な髪の人だったし、匂いも覚えているから。だいぶ近づいて・・・」
善逸の問いかけに汐と炭治郎が答えた、その時だった。
「うまい!」
突然耳をつんざくような大きな声が、前方から響いてきた。そのあまりの声の大きさに、善逸は思わず耳を塞ぎ、汐と炭治郎は飛び上がった。
「うまい!うまい!うまい!うまい!」
汐達は顔を見合わせると、声のする方に足を進めた。
声の主の元にたどり着いた汐達は、目の前の光景に開いた口が塞がらなくなった。
燃え盛るような炎の如き髪の色をした一人の男が、凄まじい勢いで弁当を口に運んでいる。しかも、一口食すたびに「うまい!」という言葉を大声で口にしている。