第66章 無限列車<壱>
「鴉が言ってたのはこのあたりよね。確か柱の煉獄さんって人がいるんだっけ?」
「そのはずだけど、見当たらないな。あの人かなり特徴的な外見だから、すぐ見つかると思うんだけど」
鎹鴉の言っていた炎柱・煉獄杏寿郎を捜しながら、汐達は指定された場所をうろつく。そこは人が行きかう施設のようなところだった。
どのような場所なのかは皆知らされておらず、ここがどのような施設なのかもわからなかった。
しかし善逸だけはその場所が何の施設か知っているようなそぶりを見せている。汐がここは何なのか聞こうとした時だった。
「おい、おいおい!!」
突然伊之助が立ち止まり、声を震わせながら叫ぶ。
「なんだあの生き物はーーーっ!!!」
伊之助の眼前に広がっていたのは、【無限】と書かれた大きな蒸気機関車だった。
その大きさに伊之助は固まり、炭治郎と汐も思わず口を開ける。
「こいつはアレだぜ、この土地の主・・・・この土地を統べる者!」
「へ?いや、流石にそれは違うでしょ」
伊之助の言葉に汐は冷静に返すと、伊之助は慌てた様子で「声を出すんじゃねえ!」と制止した。
「この長さ、威圧感。間違いねぇ。今は眠っているようだが油断するな!!」
警戒心を剥き出しにする伊之助に、善逸は呆れた様子でため息をつき、「いや、汽車だよ。知らねぇのかよ?」と答えた。
そんな善逸を伊之助は乱暴に制止させると、刀に手をかけ攻め込もうと構えた。が、それを炭治郎が静かに制止させる。
流石は炭治郎と言いたげに善逸が顔を向けると、炭治郎は真剣な面持ちで口を開いた。