第66章 無限列車<壱>
「じゃ、元気で。もしまた会えたら、今度は勝ち越してやるんだから」
そんなことを言いながら背中を向ける汐に、カナヲの胸が大きく音を立てた。そして
「あ、あのっ!!」
カナヲの口から声が漏れる。汐はびっくりした表情で振り返ると、カナヲの眼には確かな感情が見て取れた。
そして
「さようなら」
カナヲの口から言葉が飛び出す。それは銅貨を投げて決めたものではなく、初めて聞いた彼女自身の言葉。
汐の表情がみるみる輝くものになり、彼女も「うん!またね!!」と大きく手を振りながら去って行った。