第66章 無限列車<壱>
「朝デスヨォ~。起キテ下サァ~イ」
まだ日も昇らぬ明け方、汐のそばで鎹鴉のソラノタユウは間延びした声で鳴いた。汐は眠い目をこすりながら何事かと体を起こす。
「【無限列車】ノ被害ガ拡ガッテイルトノコト~。四十名以上ノ消息ガ不明トナッテイマス~。忌々シキ事態ノタメ、現地ノ炎柱、煉獄杏寿郎様ト合流シ、鬼ノ討伐ヲオ願イシマス~」
新たに告げられた任務に、汐は跳ね起き顔を叩いた。数か月ぶりの任務に、気分が高揚するのを感じる。
(あたしはあたしが守りたいものを守るために刀を振るうわ。そして絶対に、人を傷つける鬼を許さない)
決意を新たにし、汐は昇り始めた太陽を見て表情を引き締めるのであった。