第62章 幕間その肆:我妻善逸の憂鬱
そして翌日。庭先から汐達の声が聞こえた善逸は、気配を殺しながらその様子を見ていた。(何故か伊之助もついてきたが)
二人は真剣な表情で瓢箪を握っている。何をするんだろうと思っていると、二人は目配せをした後、大きく息を吸い瓢箪を吹き始めた。
「頑張れ、頑張れ!頑張れ!!」
三人の応援が木霊し、汐と炭治郎は必死で瓢箪を吹き続ける。そして、瓢箪にひびが入ったかと思うと乾いた音を立てて二人の瓢箪が砕けた。
その様子を見た伊之助の喉から音が漏れたのを、善逸は聞き逃さなかった。
「「わ、割れたアアアーーッ!!」」
二人は手を取り合って喜び、あたりに幸せな音が響き渡る。明るい笑い声が響くその空間を、善逸と伊之助は焦燥感を顔に出しながら見ていた。