第54章 迷走<弐>
「っ!?」
突然首を強く締め付けられるような圧迫感を感じた。喉が締め付けられ、呼吸ができない。
慌てて外そうにも、布は汐の首に食い込んでしまい指が入らない。
(く、苦しいっ!!)
汐は苦しみながらもなんとか留め具を外す。首が解放され空気が流れ込み、思い切り咳き込んだ。
(な、何よこれ!こんなの付けたらあたし死ぬじゃない!!あいつあたしを殺す気でこんなの渡したの!?)
頭にきて首輪を投げ捨てようとしたとき、首輪の裏側に何か紙のようなものが挟まっているのが見えた。
それを取り出してみると、そこにはこんなことが書いてあった。
“これを付ける前に全集中・常中を覚えろ。でないと死ぬぞ”
それを読んだ瞬間、汐は紙をびりびりに破いて投げ捨て、心の中で思い切り悪態をついた。
(そういうことは先に言え!!)
悪態をついた汐は深呼吸をして、捨てようとした首輪をしまうと物陰から外へ飛び出した。