• テキストサイズ

【鬼滅の刃】ウタカタノ花

第7章 慈しみと殺意の間<壱>


あちこちから上がる火の手、煙、むせ返るほどの血の匂い。
赤く染まった故郷だった場所に、汐は一人で立っていた。

(皆はどこ!?みんなを捜さないと・・・!)

皆を捜して走り出そうとする汐の足を、誰かがつかんだ。
振り返って足元を見ると、そこには――

――どうして、どうして助けてくれなかったのおおおおお!!!??

全身から血を吹き出しながらこちらを睨む、絹の姿だった。
悲鳴を上げようにも声が出ない。振り払おうにも、絹のようなモノの力は凄まじく、つかまれた足首がみしみしと音を立てる。
すると、それに引き寄せられるかのように何かが自分の周りに集まりだした。
それは、皆絹と同じように全身を真っ赤に染めた、村人だったものたちだった。
ある者は腕がひしゃげ、ある者は顔の半分がない。そして、その後ろから歩いてきたのは――

――汐、汐・・・なんで、なんで俺を殺したんだ・・・
鬼化した体とその頸を小脇に抱えた、養父の姿だった。
恨みを込めた瞳で、汐を見つめてくる。

――お前なら、お前ならわかってくれると思っていたのに・・・なんで、なんで俺を


殺したああああああああああああああ!!!!


「あああああああああ!!!!」

悲鳴を上げて飛び起きると、目の前の光景が目に入ってきた。
見知らぬ場所、見知らぬ風景。少なくとも汐の焼かれている村ではない。もう、何度も繰り返したはずなのに、いまだに慣れることはない。
だが、その時は一つだけいつもと違っていた。
汐の目の前に、赤い天狗の面をつけた男が一人立っていたのだ。
/ 1491ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp